ギリギリ人生記

セクソロジストのたまごがおくる、ヨーロッパ生活、留学、性教育など

Sapienza大学って?イタリアの大学を選んだ理由と実際の学生生活をレビュー

こんにちは

現在、イタリア・ローマのSapienza大学大学院で修士2回生をしている知春です。


ヨーロッパ含め、海外への正規留学を考えている方、多いのではないでしょうか。

その中でもSapienza大学を視野に入れている方に向けて、
どうしてイタリアのSapienza大学を留学先に選んだのか?
書いていこうと思います。

Sapienza大学への出願を考えている方の参考に
少しでもなれば幸いです!

なお、
Sapienza大学に限らない留学に関しては、
「海外に正規留学する。大学選定から受験までの有用情報公開」という記事に後日まとめる予定です。


また、
こちらは正規留学、つまり海外の大学に正規生として入学することを前提とした記事です。
交換留学や認定留学などの方は、もくじの「実際の学生生活はどうなのか」部分から読み始めることをおすすめします。

 

Sapienza大学をえらんだ理由

私が海外留学を決めたのは、
勉強したかった分野・性科学を専攻できる学術機関が日本になかったためでした。

海外に選択の幅を広げても、性科学を専攻できる大学は数えるほどしかなかったのですが、最終的にSapienzaを選んだ理由は、

 

  • 圧倒的な学費の安さ
  • ヨーロッパ就職の可能性拡大
  • 英語で履修が可能


でした。

 

 

▽学費の安さ

昨今、反移民の機運が高まるヨーロッパ各国では、
移民に対する学費無償化の取り下げや値上げが相次いでいます。

反移民の情勢を差し引いても、例えば留学で人気の英語圏は、
元々学費が年数百万円かかって当たり前のような世界です。

円安が続いている中で、その負担はさらに大きくなっています。

そんな中イタリアのSapienza大学大学院は、
私の通う医学部心理学科で年間約1600€、
現在の円安レートでも26万円弱となっています。

日本の国公立大学の平均学費、年間53万円の半額以下って…すごいですよね!

しかもこれは、あくまで最高額。
学費減免申請ISEEを行えばさらに安くなり、
加えて年間7000€、なんと100万円越えの奨学金をもらうこともできます。


手続きは面倒なのですが、外国人でも利用可能です。
詳しくは後日、別記事に書こうと思います。

 

 

▽ヨーロッパ就職の可能性拡大

私は7年以上連れ添っている、デンマーク人のパートナーがいます。
将来ヨーロッパに移住する選択肢を残すため、
修士の取得とヨーロッパの大学での学歴が有用だと考えました。

(特に高学歴社会の北ヨーロッパでは、就職の際、最低でも専門分野での修士を求められることが往々にしてあります)

デンマークは移民政策が特に厳しい国で、
外国人の場合、就労だけでなく前段階の就学にさえ、
壁が立ちはだかることがある国です。

私の専攻・心理と性科学の場合、
開講されていてもデンマーク語でのみ履修が可能であったり、
学費が高額であったり、
デンマーク人だったとしても高倍率の中受験しなければならなかったり…と、
デンマーク国内での就学はほぼ不可能な状態でした。

Sapienza大学は、イタリア内外で名の知れた歴史の長い大学で、
授業やインターンシップを通じてヨーロッパ内外の学生、研究者、学会に
コネクションを作ることができます。

さらに在学中も卒業後も、
イタリア滞在許可を得ればシェンゲン内での就職活動が物理的に容易になるため、
ヨーロッパ生活の基盤を築く良い足掛かりになるだろうと考えました。

 

 

▽英語での履修が可能

英語で履修できる環境があって当たり前、と思われるかもしれませんが、
さきほどのデンマークの例のように、
英語で履修できるコースを開講しなくなっている大学もヨーロッパにはあります。

理由は様々ですが、
移民ではなく自国民に特化して教育に投資したい、
アカデミックな世界の中の自国語や自国のプレゼンスを確保したい・高めたい、
そもそも英語で教鞭をとる人材を揃えられない…
などが考えられます。

かといって、
英語圏の留学は前述のとおり非常に高額になることも多く、
英語圏で好きなことを英語で専攻できる…というのは、
実は恵まれた環境であると思います。

 

Sapienza大学では、心理学の他にも
物理学、経済学、考古学など、
様々な専攻が英語で開講されています。

また、英語の語学要件も、例えば心理学の場合だとIELTS5.5と、
帰国子女でなくても、今まで一度も留学したことがなくても
達成はあまり難しくないレベルに設定されています。

他の大学院の語学要件がIELTS6.5〜7.5ほどであることを考えると、
非常に易しいです。
(ただし、受かったからといって語学力が低いままでは
授業についていくことは難しくなります。
私は7.0でしたが、やはり心理の専門用語が並ぶと、割と苦労しました)

 

もちろん、イタリア語ができる場合は選択肢は増えますし、
語学学校に通うなどしてイタリア語力を高めてから
入学するという選択肢もあります。

 

▽そのほか

・2年間がっつり学べる(大学院の場合)

当たり前じゃないの?と思われるかもしれませんが、
これは実は国によります。

イギリスの場合、大学院は1年間のみの就学期間です。

よく言うと、すぐに修士号が取れますが、
デメリットは詰め込み勉強をしなきゃいけないことと
物事を深く学ぶのには適していない場合があること。

私が同時受験したオーストラリアの大学も、1年半の就学期間だったため
学びに2年間かけられることは決め手の一つでした。


・卒業後、就活ビザがもらえる

ヨーロッパでは就活ビザの付与は珍しくありませんが、
アメリカなどいくつかの国では、就活ビザがもらえない場所もあり、
卒業後の就活をその国で行うことを考えている場合は
外国人の場合、難しくなる可能性があります。

その点、イタリアは(ちゃんと事務方が仕事をしてくれれば)
就活ビザを卒業後にゲットし
安心して就活に専念することができます。

 

・文化が魅力的な国

イタリアは、世界屈指の観光大国。

街を歩けば遺跡がゴロゴロしていますし、
チェーンのリサイクルショップに入れば文化水準の高さを伺える
調度品がぞろり。

カフェに入った時、しょっちゅうあるデモやストに混ざったり遭遇した時、
郵便局窓口に文句を言いにいく時、友達の家に招待してもらう時、
バス停で言語が通じなくてもちょっとしたおしゃべりをする時…
そんな日常にも、激しく温かく、めちゃくちゃで笑ってしまうような
魅力が溢れています。

私の大好きなイタリア骨董品ハントについてはこちら↓

 

chiharu-sexology.hatenablog.com

 

 

実際の学生生活はどうなのか

▽入学してわかったこと

・教授の英語能力は個人差があり、理想的でない場合もある

ネイティブレベルの教授から、日常会話さえ怪しいレベルまで、
英語のコースであったとしても、言語的環境の質にばらつきがあることは否めません。

専門分野を流暢なコミュニケーションで教授してくれる先生だけではなく、
忍耐強く聞かないと内容がわからず、集中力がギブアップしそうになったり、
質問しても正確に答えてもらえなかったり、
スライドなどの資料が機械翻訳そのままで、解読に苦労して学習のロスが大きかったり
色々な苦労がある場合もあるのが現状です。

実際私は、英語でも日本語でも聞いたことがない心理学用語がスライドに出てきて
1時間も解明に費やしたものの、結局そんな概念は存在せず
イタリア語の用語を直訳したために起こったミスだった…ということがありました。

ドッと疲れました。笑

 

・キャンパスに当たり外れがある

私が通った大学院の心理学部棟は、
San Lorenzo地区という、治安と衛生環境の悪い地区にある簡素な建物でした。

言語学系などが集まる、お隣のMarco Poloキャンパスは
大きな図書館もあり、自習スペースも豊富で食堂までありましたが、
うちにあるのは小さな自習スペースのみ。

アクセスも悪く、メインキャンパスや他の学部の設備が羨ましかったです。

私はデンマークのWell-Being第一!心地良い場所作り!な
北欧的学習環境に慣れていたこともあり、設備投資の差に面食らいました。
(これはデンマークが特殊なのだと思いますが…)

ローマでのおすすめ自習スペースについてはこちら↓

 

chiharu-sexology.hatenablog.com

 

・大学の案内や情報伝達の不親切さ、事務機能の低さ

入学準備から大学院生活に至るまで、
大学院の事務方の機能不全さには驚きました。

まず、大学の公式HP、事務室、教授、先輩世代で言っていることが違う。
運営ポリシーや方法がコロコロ内部で変わっていることもあり、
入学・履修・試験・卒業のために何をいつまでにどうしたら良いのか?

一貫した情報が得られない上、ギリギリまで情報が出なかったり、
プッシュしたり根回ししたらあっけなく非正規ルートで突破できたりと、
まあシステマチックも何もないような大学運営でした。

海外で勉学に励む、というだけでもストレスフルなのに、
+アルファの面倒が多く、疲れました笑
Sapienzaをもじった”Pazienza(忍耐)”という身内ネタが存在するほど。

ただ、デンマークでも同じような点でそこそこ苦労したので
履修登録3回目でやっとちゃんと登録された、等)
これはイタリアに限った話ではないかもしれません。


・そもそものイタリアという国のガバナンスの問題による苦労

イタリアという国では、予定、システム、規則、法律、
あらゆるシステマチックな枠組みは頼りになりません。

現場でフリースタイルで頑張ってなんとか生き抜いていく、そんな国です。

よく言えば、人情と情熱でなんとかなる国、
悪く言えば、コネと声のでかい人が最後には勝つ国だと思っています。

これが、命や生活に関わらない範囲でなら、まだ百歩譲って許せるかもしれませんが、
滞在許可証などになると話は別です。

私の周りで、スムーズに発給された人を見たことがないですし、
私自身も実際、2年間以上待って諸問題のせいで結局もらえていません。

これでは途中出入国や、他EU加盟国への旅行の時、
国内で警察に身分証をチェックされた時に、問題になりかねません。
騙し騙し生きていくことが負担になる人には…あまりおすすめしません。


インターン先選びに苦労する

学部によっては、卒業前にインターンシップを修了する必要があります。

言わずもがな、イタリアではイタリア語のインターン先の方が
圧倒的に見つけやすいため、
言語ができないと見つけるのに苦労する可能性があります。

中国人のクラスメイトは、ローマ市内の中華系心療内科
ポストを見つけていたため、
イタリア語ができなくても他言語ができることで可能性が開ける場合もあります。

 

・家探しが大変
ローマだけでなく、イタリアは家探しが鬼門。

勉学はおろか、宿なしにならないかに神経を使わなくてはいけないのは、堪えました。。。

家探しがどれだけ難しいか、どうしたら良いかは、過去記事に書いています↓

 

chiharu-sexology.hatenablog.com

 

・イタリアの国家資格がもらえる(予定)

入学前は知らなかったのですが、
心理学修士生は今年から、卒業とともに心理士の国家資格がもらえるように。

厳密には、今まで卒業後に受けさせられていた心理士国家資格の受験を
卒業要件の一部に組み込んだことで、
卒業と同時にもらえるようになりました。

理論上は、この国家資格を日本の公認心理師の受験資格にできる可能性があるため、
心理臨床をやりたい身としては非常に助かりました。

また、どうやらEU法により、他EU加盟国の心理士資格への読み替えも
簡単な手順ではないもののできるようになっているらしいので、
嬉しい誤算でした。

他学部はわからないのですが、EU圏内読み替えについては
おそらくおなじことが言えると思います。

・英語コースは国際色豊かで知見が広がる

英語で開講されているコースの場合、国際色が非常に豊かになることが多いようで、
私の場合は、ヨーロッパ以外ではイラン、トルコ、ウズベキスタン南アフリカなど
デンマーク時代には会わなかった国籍の仲間とも会うことができました。

時事や歴史、文化への知識もたくさん授けてもらい
より身近に色々な国々を感じながら生きられるようになり、感謝しています。

また、同じ性心理学の発展に資する志を
ありとあらゆるバックグラウンドを持った仲間と共有できたのも
とても良い経験でした。

カオティックな日常を一緒にサバイブする分、
距離も縮まったように思います。

Sapienza大学をおすすめするか

結論、私は(めちゃめちゃ大変でしたが)おすすめします。
特に、イタリア・ヨーロッパに基盤を築きたい、
同じ額でも勉学にかけられる時間を最大化した留学をしたい場合はおすすめです。

 

 

いかがでしたでしょうか。

イタリア留学を迷っている方の参考になりましたら幸いです。